【合唱コンクール盛大に終了】

 担任をしていた頃、私のもっとも好きな学校行事の一つが合唱コンクールでした。私自身が音楽好きということもありますが、それにもまして、性格も、歌の得手不得手もひっくるめて、個性あふれる何十人もの中学生や高校生が合唱で一つになるなんて、こんなに困難で、険しい道のりの行事はほかにないからです。合唱コンクールと聞いただけで、胸が高鳴ります。少々不謹慎ですが、そんなだいそれた作業、もめて当然です。大いに波が立ち、風が吹くのです。しかし、本番は必ずやってきます。そしてそこは絶対に決めないとだめなのです。みんななんだかんだ言って、最後は舞台に立つでしょう。大勢の人の前で舞台に立つのだからいい加減なことはできません。やるのです。やるしかないのです。本気で。ただ、そのためには途中でいろんな考え方や方法論、時間のかけ方から練習内容まで、一人ひとりの価値観の違い、究極的には人生哲学の違いを乗り越えて、時には譲り合ったりぶつかり合ったりするのです。だいたい個人技で勝負しているのとはわけが違います。ここは哲学のぶつかり合いなのです。だから苦労が大きいほど本番のあとの達成感や充実感は何ものにも代えがたい財産になるし、終わったあと、いっそう仲間との絆が深まっていくのです。
 

 コンクールですから技術や表現力など一定の基準に基づいてさまざまな賞があります。高校部総合優勝の高3(完璧な3部のハーモニーと表現力・最後の合唱にかける思い・教養あふれる合唱は圧巻でした)、中学部総合優勝の中3(「私たちはやれば出来る学年」と挨拶してくれたとおり、困難を乗り越えて難曲を歌いこなした実力と努力の結晶が作り出した合唱スピリットが秀逸でした)は本当に称賛すべきものでしたが、私は中1のまっすぐな誠実さ元気さが結実したフレッシュですがすがしい歌声、全身で「歌が好き」を伝えてくれた中2の声量・団結力・温かさそして学年の一体感、高1の絶対的少人数をものともしない熱さと協力、誠実な調和と美しさ、そして「爽やかな61回生」をキャッチフレーズとした高2のチームワークと豊かな知性・感性で完成度の高い魂の合唱、のどれもが「金賞」だったと思います。今日までの道のりは決して平坦ではなかったと思いますが、皆さんの練習風景を見ていて私は何度も胸が熱くなりました。ある学年の練習で鳥肌が立ったこともありました。
 

 コンクールが終わったあとも、全学年の指揮者(中1秤さん・上林さん、中2横山さん・曽我さん、中3若園さん・山内さん、高1樹山さん・井上柚杏さん、高2中戸川さん・後藤さん、高3北國さん・岡野さん)と伴奏者(中1鎌田さん・嘉茂さん、中2村社さん・金澤さん、中3西本さん・兒玉さん、高1井上友貴さん・井手さん、高2永野さん・齋藤さん、高3寺前さん・水口さん)が次々と校長室を訪れ、講評を聞きに来る伝統にも感服しました。
 

 校長室の前には今週の名言に加えて本日限定の「まず自分が感動すること。自分が感動しないといい歌は歌えない」(元ちとせ)を貼っておきました。何か感じたことがあればその思いを伝えてくださいね。
 

 皆さん素敵な愛徳ハーモニー、本当にありがとうございました。(校長 松浦直樹)