【65回生静修合宿無事終了】

 愛徳学園には「静修」という行事があります。これはカトリック教会の「黙想会」とほぼ同じ意味なのですが、中高生に「黙想会」というのもやや仰々しいですし、神父様の話を聴いて黙想するということだけにとどまらず、活動的な内容もすべてを含めて「静修」と表現するのです。それをわかりやすくするために私はいつも生徒たちに「静修」とは「体験や祈りをとおして神様と出会う行事」と定義しています。もう少しかみくだいていうと「行事を通して思いやりや優しさ、そして祈りの意味や自分自身と向き合うもの」ということになります。中2は野外活動的な「静修合宿」、中3や高2の修学旅行は平和学習や祈りを伴う「静修修学旅行」とよぶのです。

 その静修合宿で今年も兵庫県立兎和野高原野外教育センターに行ってまいりました。気象予報は長期も直前も雨。しかも、もっとも重要な2日目はいつ確認しても雨の予報だったので、雨天プログラムも想定しての出発となりました。

 

 さて、1日目の現地到着時はすでにパラパラと雨が降っていましたが、最初の体験であるクラフトワッペン作り、そして飯盒炊さんによるカレー作りもすべて予定通り実施できました。翌日はきっと晴れると信じた私は、皆がクラフト作りをしている時間に、登山のショートコースの下見に4合目のはちまき展望台に行ったのですが、その間菊池さんと中島さんが私のためのワッペンを作ってくれていました。ギターとお天気の象徴である太陽が上手に描かれているクラフトは宝物です。裏に「Naoki Teacher」と書いてあるところが泣けました。校長室の扉につけてあるのでぜひ手にとってみてください。

 2日目は、朝のうちはまだ雨が降っていましたが、午後からは完璧に晴れました。雨天プログラムの焼板作りと登山の両方が体験でき、さらに夜のキャンプファイヤーではまっすぐに立ち上る見事な炎を囲んでのスタンツ大会や大合唱で盛りあがるなど、盛りだくさんでぜいたくな1日となりました。もちろん満天の星と天の川はこれ以上ない感動のフィナーレとなりました。夜の静けさも最終日のみことばの祭儀を準備する貴重な時間となりました。

 3日目は大掃除から始まりました。センターに掲げられた兎和野高原の3つの約束「自分のことは自分でする」「来たときよりも美しく」「ものを大切にする」を意識して全力で清掃活動に励んでいました。愛徳生の素晴らしさは、こういうことをすすんで実践するところです。何かを頼んでも笑顔で「やります」と言ってくれますし、「他に何かないですか」など進んで動く姿勢が身についています。余談ですが、チェックされるセンターの方々も愛徳生の丁寧な清掃や片付けを絶賛されていました。

 そうして最後のプログラムがこの静修合宿のメインであり、総まとめとも言える「みことばの祭儀」です。ここでは聖書の中から静修合宿のために選ばれたいくつかの箇所を朗読し、沈黙のうちにその言葉に耳を傾けるのです。快晴でしたので、キャンプファイヤー場のやや奥にあるひっそりとした場所で川のせせらぎ、鳥のさえずりや虫の音、そして風の音までも全身で味わいながら、静かに自分を見つめます。途中、初日に作ったクラフトワッペンを祭壇に捧げたり、仲間へのメッセージカードを交換したり、静修合宿の総まとめにふさわしい時間になりました。

 

 日常生活から離れた場所での合宿は感動体験そのものですし、仲間とともに過ごす3日間はまた格別です。本番はよいものですが、大切なことは、帰ってきてからの生活でしょう。ここで体験し、学んだことを明日からの学園生活につなげてくれればこんなに嬉しいことはありませんし、そうなればこそ本当の意味での静修合宿の成功と言えるでしょう。(校長 松浦直樹)