愛徳学園初の海外静修修学旅行となった台湾修学旅行が無事終わりました。ちょうど1ヵ月前に中学3年生の静修修学旅行記を書いたところですし、毎日の動きについてはすでに掲載してありますので、重複を避けつつ簡単に感じたことをふり返りたいと思います。
高2も出発前の挨拶に総務の住田さんと藤井さんが職員室を訪れました。
「わたくしたち61回生は、11月13日から3泊4日で台湾へ行ってまいります。初めて修学旅行で台湾を訪れるということもあり、緊張もしていますが、同時に楽しみでもあります。観光はもちろん、ドミニカンインターナショナルスクール(Dominican International School Taipei;以下DIST)での交流もあります。実際に英語を使うことによって、台湾の文化を学び、コミュニケーションの幅をひろげる機会にしたいと思います。そして、初めての海外での修学旅行ということもあり、来年・再来年の学年へと繋げていけるよう、それぞれが責任ある行動をとり、誰ひとり欠けることのない4日間にしたいと思っています。」
上級生になると自分たちのことだけでなく、その後に続く後輩たちへ繋いでいきたいという思いも表現してくれ、旅行に行く前からたくましさを感じることとなりました。
さて、中3の時もそうでしたが、愛徳学園の行事では基本的に生徒が主体となって運営します。一覧表を見ると、全員が必ず何かの係に入っていることがわかります。その中でも今回スピーチをした二人以外に総務として全体の指揮をとってくれた牛田さん・梶川さんは責任ある仕事をよく務めてくれたと思います。皆の前で挨拶をする場面が多いだけでなく班長会議などでも常に全体を見て動いてくれました。そして現地では基本的に班行動ですから、各班の班長も重要な任務を負っています。そういう意味でこの旅行の成功は、総務だけでなく、善家さん・山根さん・中山さん・髙山さん・後藤さん・リッドガードさんらのリーダーシップによるところが大きいです。その他数え上げればきりがないですが、特にDISTで与った御ミサで即興の伴奏を務めてくれた齋藤さんはフルートを吹くDISTの先生との呼吸もぴったりで、二人で演奏する姿は圧巻でした。御ミサに参加しているDISTの生徒たちは皆元気よく歌を歌っており、とにかく「明るい御ミサ」という印象でした。「こういうミサもいい」と言ってくれた生徒もおり、改めて音楽に国境はないと感じました。ともに祈ることができたことをとても嬉しく思います。
観光地では声を出して気持ちを表すことが多かったですが、高2の良いところは、この喜怒哀楽がはっきりしているところでしょう。自分の感情を正直に出すことや表現することが苦手な中高生が多い中で、感動的な観光スポットでは歓声を上げ、夜市の臭豆腐店の前は駆け抜けるなど、素直で正直な場面が何度もありました。DISTでの交流の後、バスに戻ってくるや否や辞書を調べ、「ああ、この表現をすればよかったのか」「こんな簡単な言葉が出なかった。悔しい。」といった声も飛び交っており、他言語で実際にコミュニケーションを取ることの難しさや楽しさ、そして喜びを実感していたようです。ぜひこういう部分も後輩たちに繋いでくれればと思います。
帰りのバスの中で、「この旅行で色んな人に出会ったし、感謝もしていると思います。今想像して一番印象に残った人、一番感謝したい人は誰ですか」と問いかけてみますと、皆口々に「黄さん」と叫んでくれました。「黄さん」は、私たちが台北に着いてからの4日間、常に私たちを安全に導いてくれ、どの場所でも懇切丁寧かつ簡潔明瞭に説明をしてくださった台湾人ガイドのことです。彼は本当に親切で善良な方で、その彼も実際に台湾人はとても親日的な人が多いのだと話しておられました。日本の植民地支配はもちろん、内戦と圧政など私たちには想像できない苦労をしてきたご自身の親世代の話を聞いて育った黄さん自身ですが、どこまでも笑顔でユーモアに溢れ、優しかったです。
旅行中はマイクを握るとき以外は決して目立たず、まわりに溶け込んでおられますが、必要な場面では的確な指示を出し、常に安全なエスコートを心がけてくださったホスピタリティの人でした。この、私たちが最も身近でお世話になり、台湾のことを詳細に教えてくださった黄さんの名を、皆が一番に言ってくれたことが本当に嬉しいことでした。それはきっと愛徳生の持つ「おもてなしの心」に通じるものがあったからだと思います。
なお、DISTの校長先生からお土産に英語の聖書を10冊いただきました。10冊は重いので班長会議の時に持って帰るのを手伝ってくれる人を募ったところ、次々に手を挙げてくれ、あっという間になくなりました。中には一人で2冊持って帰ってくれた人もいました。自分たちのスーツケースはお土産でいっぱいのはずなのに、こんな形で善意をすぐに行動に移してくれる人がたくさんいる。それが愛徳生なのです。最終日の笑顔がひときわ美しかったのは、きっとこういう行動からきているのだと思います。
貴重な体験をして戻った61回生の、ひと回りもふた回りも成長した姿に期待しましょう。(校長 松浦直樹)