愛徳学園が誇る授業はいくつもありますが、「Global Studies」は学校設定科目として非常に特徴的な科目です。これは、「英語をツールとして使用しながら、世界で起こっている様々な社会問題の解決を考える」というコンセプトでスタートし、今年で8年目になります。例えば「貧困問題」「女性問題」等をテーマに、生徒が主体的に取り組む探究型・教科横断型の授業になっています。
以前も少し触れましたが、現在高3で取り組んでいる「Book Project」はカンボジアの農村地帯の小学校(プロン小学校)に手作りの絵本を届けるという非常に具体的で、精度の高い取り組みです。「ただ絵本を作る」とか、「何かを寄付する」ということではなく、まずカンボジアの歴史を学び、なぜ現在のような社会構造になっているのかを知り、実際に現地の方々と交流した上で、自分たちに何ができるかを考えるのです。ですから今後も常にどういう形での貢献が可能かを考え、形も変えてゆくことが可能です。先日研修生としてこられていたミャンマーのミーミーさんがこの授業に大変興味を示して下ったこともあり、今年の「Book Project」で作成した絵本を急遽増刷(もちろん手作り)し、ミャンマーにも届けようと話がどんどん膨らんできました。これは愛徳学園の「Global Studies」が大きな可能性を秘めていることの証でしょう。何より嬉しいのは、受講生である高3がこのプロジェクトに前向きに取り組んでいるという事実です。2学期の高3といえば受験まっただなかで、場合によってはプレッシャーやストレスで心に余裕がなくなってくる時期でもあります。人間ですからもちろんしんどい時もあるし、気が滅入ってしまうときもあります。しかし、愛徳生はどの授業も大切にし、行事を含めた一つひとつの活動に集中できているのです。その姿は「泰然自若として騒がず」なのです。例えそうでない心理状態であったとしても、少なくとも外からは余裕を感じさせる何かが認められます。非常に強く美しい姿です。
この活動が『カトリック新聞』(第4736号)に大きく掲載されました。取材では記者も大変共感してくださり、最後は実際の授業をオンラインでつなぎ、生徒一人一人へのインタビューが実現しました。インタビューに答える生徒たちのまっすぐで誠実な姿勢は、成長を遂げた「愛徳学園の長女」の姿にふさわしいということができます。私はこのような愛徳生の姿を、実際に見ていただきたいといつも思っています。まずは記事(こちら)をぜひご覧ください。(校長 松浦直樹)