【震災メモリアルで感じたこと】

 阪神淡路大震災から29年。震災後、愛徳学園が毎年行っている「震災メモリアル」が今年も全校委員会によって実施されました。おおまかな内容は当日のHPで紹介されておりますが、私も少し感じたことを書いておこうと思います。

 この「震災メモリアル」は震災からどれほど時間が経過しても、まずこの地で起こった震災を忘れずにまっすぐに受け止めること、そして、与えられた命を誰かの役に立てるように精一杯生きることを誓う行事で、全校委員(生徒会)が企画・実施するものです。はじめに全校委員からも「実際に経験していない私たちの世代でも震災のことを知り、これまでにあった日本の大きな震災を私たちが『いつか昔にあった出来事』というように捉えるのではなく、震災から学び続け、忘れず、伝えることを目的としています」とはっきりと力強く述べられました。

 全校生徒が講堂に集まり、1時間目の授業を使って2部構成で行われたこの「震災メモリアル」は、1部では震災の画像をスクリーンに写しながら阪神淡路大震災だけでなく、東日本大震災や今回の能登半島地震について詳しい説明がありました。

 2部では全校生を6学年の縦割りの班に分けてそれぞれ円になり、防災についてグループごとに話し合います。クイズ形式にすることで中学生も高校生も自分事として考えることができたようです。質問内容もよく練られており、安易な問題ですべての班が正解になるということもなく、しっかり考えさせられるものに工夫されていました。答える側も真面目かつ積極的で、正解のチームも不正解のチームも全校委員に指名されたら自分たちのチームがなぜそう考えたのかを発表しており、まわりの先生たちからも「なるほど」「おお、そうか」といった声が聞こえてきました。

 次に5人家族で防災グッズを準備しているという設定で劇が行われましたが、劇の途中で防災グッズに関連するクイズが投げかけられるなど、テレビ番組さながらでした。アイデアに頭が下がりますが、入念な準備の賜物でしょう。

 最後は震災復興のシンボル曲である『しあわせ運べるように』を全校生徒で歌いましたが、今回は歌詞の「神戸」の部分を「ふるさと」にかえて歌うことで、能登半島地震にも思いを馳せました。

 

 震災から29年の今、語り部として活動されてきた方々も高齢化が進み、当初のような形で震災を語り継いでいく場面が少なくなってきたと先日報道されていました。しかし、愛徳学園が実施しているこの取り組みは、今の時代だからこそ非常に意義深いものだと思います。震災後に生まれ育った生徒たちが、どのように震災を引き継いでいくかを主体的に考え、全校生徒と共有していく姿に大きな希望を感じました。

 「震災メモリアル」の終わりに、能登半島地震の復興支援のために来週校内で行う緊急募金の呼びかけがありましたが、それと並行して全校委員は22日(月)と23日(火)の2日間、JR垂水駅で街頭募金をすることになっています。街頭募金をするためには様々な手続きが必要で、すぐに実施できることではなかったのですが、これは垂水警察署への申請など先生方の協力も仰ぎながら事前に準備を進め、来週早々に実施できることとなったのです。生徒の行動力にあらためて敬意を払いたいと思います。これを読まれた方は、夕方の駅前で募金に取り組んでいる愛徳生を見かけたらぜひお声かけいただき、励ましていただければ幸いです。(校長 松浦直樹)